YUUA MACHIYA

高円寺に和菓子屋として建てられた築100年近い町屋を住宅兼事務所に改修しました。建物本来の美しさの再発見を基本方針とし、伝統的な職人技術の造作を加えて新旧の融合を図り、さらに永く使い続ける方向性を模索しました。

重厚感ある基礎石、美しい欅や檜の柱梁、瓦葺き屋根など、本物の素材感が引き立つ日本の伝統的な家屋の質の高い空間を生かし、基本構成は変えずに内部のレイアウトや室間のつながりを再考しました。

天井高4mの土間空間は、改変されてきた間仕切や設備、窓等を取り除いて壁を補強し、元の空間を再現しました。壁紙の貼られた壁面の板は保存が難しく、取り外し補修してキッチン扉や小上り床に再利用しました。壁は板張当時の深みのある色合いに近づけるため、黒ベースに赤、黄色の顔料と金粉を混ぜた漆喰とし、光によって微妙な色の変化が楽しめます。床は昔ながらの人研ぎ工法とし、キッチンカウンターや浴槽も同材で造作して全体の統一感を出しています。

更なる建物の長寿命化を目指し、機能面に影響する設備や補修が必要な素材はほぼ一新し、断熱強化や窓サッシ気密化など環境に配慮しつつ居住性の向上をはかりました。

所在地
東京都杉並区
用途
事務所・住宅
竣工年月
2014年10月
規模
地上2階
構造
木造
敷地面積
89.09 ㎡
建築面積
60.45 ㎡
延床面積
99.14 ㎡
建物高さ
約 9 m
写真撮影
傍島 利浩